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この記事は、数時間続けてゲームを起動するデスクトップのゲーミングPCを使っていて、ファンの音や動作の重さから発熱が気になっている人に向けて書いています。扱うのは、CPUグリスを買う前に候補を絞り込む場面だけです。
先に結論を出します。長時間プレイで熱がこもるPCのグリス選びは、熱伝導率の数字を並べて比べる作業ではありません。候補から外す条件を4つ決めれば、残るものはごく限られます。
もう1つ先に言います。そもそも買わなくていい場合があります。クーラーの底面にグリスがあらかじめ塗られていて、それをまだ一度も使っていないなら、買い足すかどうかの判断がその時点で決まります。
進み方は3段です。公表されている値と公表がない項目を早見表にまとめ、次に避ける4つの条件を出し、最後に状況別へ落とします。塗り替えの作業手順と交換時期そのものは、この記事では扱いません。
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ゲーミングPCのCPUグリス選びの結論|公表されている値と「公表がない項目」の早見表

買う前に確かめる項目は3つです。導電性・使用温度域・その値を公表しているかどうかの3つで、熱伝導率の数字の大小ではありません。
理由は下の表のとおりです。熱伝導率は公表の方針が会社ごとに分かれるため、横に並べても同じ条件の比較になりません。一方で導電性と使用温度域は、公表しているメーカーが具体的な数値まで出しています。
| 確認する項目 | 公表されている内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 市販グリスの実際の熱伝導率の範囲 | 1〜4W/m・K | ARCTIC公式FAQ「Why doesn't ARCTIC communicate thermal conductivity values」 |
| 12.5W/m・Kのような高い表示値の扱い | 実態と合わない値として、数値そのものを公表しない方針をとるメーカーがある | 同上 |
| 1回に使う量 | 米粒1粒からエンドウ豆1粒ほどをCPU上面の中央へ | Intel公式サポート「How to Apply or Remove Thermal Interface Material (TIM)」 |
| 量が多すぎた場合 | 金属面どうしが離れて効果が下がり、基板側へはみ出す | Intel公式「How to Apply Thermal Paste」 |
| 使用済みグリスへの重ね塗り | 不可。古いものを取り除いてから塗る | Intel公式サポート(TIM) |
| 塗り直すきっかけ | CPUまたはクーラーを取り付け直したとき | Intel公式サポート(TIM) |
| 時間で決まる交換周期(◯年ごと等) | 公式の公表なし | ― |
| 非導電タイプの絶縁の目安 | 体積抵抗率1.8×10¹²Ω-cm/絶縁破壊電圧7.5kV/mm | ARCTIC MX-6公式スペックシート |
| 連続使用できる温度 | -50〜150℃ | ARCTIC MX-6公式スペックシート |
| 液体金属タイプの制約 | 導電性があり、アルミ製の受熱面には使用できない | Thermal Grizzly公式 Conductonaut適用ガイド |
| グリス交換で下がる温度 | 公式の公表なし | ― |
表の読み解きです。製品をまたいで比べられるのは導電性と使用温度域です。熱伝導率は公表する会社としない会社があるため、数字を横に並べた時点で比較になりません。
1回に使う量と、使用済みグリスの扱いも公式が言い切っている項目です。米粒1粒からエンドウ豆1粒ほどを中央へ置き、使ったグリスの上に新しいグリスを足さない、という2点は製品を問わず共通の前提になります(出典:Intel公式サポート)。
「公式の公表なし」と書いた2行は、あえて残しています。グリスを交換して何℃下がるのか、何年ごとに塗り替えるのかは、公式が数値を出していない項目だからです。
この2行を数字で埋めた説明を見かけたら、その数字がどこから来たのかを確かめてください。ここが埋まっていないという事実自体が、買う前の判断材料になります。
熱伝導率の数字が大きいグリスほど冷えるとは限らない理由

グリス選びでよく使われるのが、パッケージの熱伝導率を並べて大きい順に見る方法です。この比べ方は、並べる相手が同じ物差しで数字を出している場合にだけ成り立ちます。
実際には、その前提が崩れています。前提が崩れている以上、数字の大小を根拠に候補を絞ると、選んだ理由が残りません。
数値を公表しない方針をとるメーカーがある
熱伝導率の数値を意図的に公表しない方針を、公式FAQで明示しているメーカーがあります(出典:ARCTIC公式FAQ「Why doesn't ARCTIC communicate thermal conductivity values」)。理由として挙げられているのは、この値が各社で誇張して表示されている状況です。
同じFAQでは、市販されているグリスの実際の熱伝導率は1〜4W/m・Kの範囲だと説明されています(出典:ARCTIC公式FAQ)。12.5W/m・Kのような表示値は、実態と合わない数字として扱われています。
つまり数値を公表する製品としない製品が同じ棚に並んでいるため、数字の大小で順位を付ける比較そのものが成立しません。公表していない製品は性能が低いという意味でもありません。物差しが揃っていない、というだけです。
数値の代わりに見る3項目|導電性・使用温度域・公表の有無
比較の軸を、商品ページで実際に確認できる項目へ置き換えます。導電性、連続して使える温度の範囲、そしてその項目を公表しているかどうかの3つです。
導電性は、はみ出したときの扱いが変わる項目です。使用温度域は、高負荷が長く続く環境で製品の想定範囲に収まっているかを見る項目になります。
ここで注意があります。商品ページに記載がない項目は「その性質を備えていない」という意味ではなく、比べる材料がないという意味です。材料がない製品は、良い悪いを判定せずに比較の対象から外します。
長時間プレイのゲーミングPCで候補から避ける4つの条件

ここからが本題です。数時間続けて高負荷のゲームを動かすという状況に限って、候補から避ける条件を4つ挙げます。
4つとも、商品ページを開いた時点で判定できるものに絞りました。実際に塗ってみないと分からない条件は入れていません。
条件1|受熱面がアルミ製、または初めて塗り替えるなら液体金属タイプを外す
この条件に当てはまるなら、液体金属タイプは候補から外します。迷う余地はありません。
液体金属タイプは導電性があり、アルミ製の受熱面には使用できません(出典:Thermal Grizzly公式 Conductonaut適用ガイド)。接触すると冷却部が恒久的に損傷します。使用が案内されているのはニッケルめっき面です。
向かないのは、初めて塗り替える人、クーラーの受熱面の材質を確認できない人、PCを動かす機会が多い人です。材質が確認できない時点で、この条件は判定できません。判定できないものは選ばない、という扱いにします。
条件2|熱伝導率の数値だけを根拠にした製品を外す
商品ページに熱伝導率の数字だけが大きく置かれ、導電性と使用温度域が書かれていない製品は外します。長時間高負荷が続く用途では、その1つの数字だけでは判断材料が足りません。
前の見出しで見たとおり、その数字は会社をまたいで揃っていません。揃っていない数字を根拠にすると、なぜその製品にしたのかを後から説明できなくなります。
数字が大きい製品を選んで温度が下がったとしても、下がった理由がグリスの数値だったのかは切り分けられません。塗り方やクーラー側の条件も同時に変わるためです。
書かれていないことを欠陥として読む必要はありません。判定できる材料が載っている製品だけを残す、という手順の話です。
条件3|使用温度域と導電性が商品ページに載っていない製品を外す
条件2を裏返した基準です。比較の基準線として、公表されている例を1つ置きます。
連続して使用できる温度は-50〜150℃、非導電の目安は体積抵抗率1.8×10¹²Ω-cm・絶縁破壊電圧7.5kV/mmという公表例があります(出典:ARCTIC MX-6公式スペックシート)。この2項目が書かれている製品どうしだけを並べれば、同じ土俵で比べられます。
どちらか一方しか載っていない製品は、この状況では保留にします。数時間連続で熱が入り続ける前提なので、温度の範囲が分からないまま選ぶ理由がありません。
確認する場所は、商品ページの仕様欄か、メーカーが配布しているスペックシートです。両方に見当たらないなら、その製品はこの条件では判定できないという結論になります。
条件4|クーラーに塗布済みのグリスが未使用なら、そもそも買い足さない
買わない判断を先に置きます。CPUの箱に同梱されるクーラーには、底面にグリスが3本の線状であらかじめ塗られているものがあります(出典:Intel公式サポート「How to Apply or Remove Thermal Interface Material (TIM)」)。この状態なら追加で塗る必要はありません。
一度も取り付けていないクーラーがこの状態なら、買い足す前にまず現物を確認してください。買い物の前に減らせる作業は、ここで減ります。
逆に、すでに使ったグリスの上へ新しいグリスを足すことはできません(出典:同)。塗り直すきっかけは、CPUかクーラーを取り付け直したときです(出典:同)。時間で決まる交換周期は公式の公表がないため、年数を基準に買い替えを決める根拠は今のところありません。
状況別に「外すもの」を決める早見表

4つの条件を、自分の状況に当てはめます。どの行に当てはまるかで、候補から消えるものが決まります。
| あなたの状況 | 候補から外すもの | 優先して確認する項目 |
|---|---|---|
| 初めて塗り替える/クーラーの材質が分からない | 液体金属タイプ | 導電性の記載 |
| 高負荷のゲームを数時間続けて動かす | 使用温度域の記載が無いもの | 連続使用温度 |
| 小型ケースやミニPCで、分解の可否が不明 | 分解を前提とした選択そのもの | 保証条件はメーカーの案内を確認 |
| 費用を抑えたい | 塗り直し回数に対して容量が過剰なもの | 容量と、あと何回塗る予定か |
| 付属クーラーを一度も外していない | 買い足すこと自体 | 塗布済みグリスの有無 |
初めて塗り替える人が外す選択肢
液体金属タイプを候補から消します。導電性があり、アルミ製の受熱面には使えないという制約が付くためです(出典:Thermal Grizzly公式 Conductonaut適用ガイド)。
残すのは、商品ページに非導電と書かれているタイプです。絶縁の目安として体積抵抗率や絶縁破壊電圧まで公表している製品なら、その数値どうしで比べられます(出典:ARCTIC MX-6公式スペックシート)。
初回は、作業をやり直せる余地を残しておくほうが進めやすくなります。非導電タイプなら、はみ出したときの扱いが液体金属タイプとは変わります。
高負荷が長時間続く構成で外す選択肢
使用温度域が商品ページにない製品を消します。数時間にわたって熱が入り続ける使い方では、想定されている温度の範囲が判断の土台になるからです。
連続使用温度を公表している製品なら、-50〜150℃のように範囲で示されます(出典:ARCTIC MX-6公式スペックシート)。同じ項目を出している製品だけを残し、その中で導電性を見比べてください。
費用を抑えたいときは容量と塗り直し回数で決める
1回に使う量は、米粒1粒からエンドウ豆1粒ほどをCPU上面の中央へ、という案内です(出典:Intel公式サポート)。グラム数での公表はありません。
そこで容量は、あと何回塗る予定かで決めます。1回きりなら小容量で足り、複数台を触る予定があるなら容量の大きいものが向きます。
一方で、塗り直しの予定がないのに大容量を選ぶと、使い切らないまま残ります。容量は性能ではなく、これから何回使うかという予定で決める項目です。
グリスを替えても熱がこもるときに疑う順番

グリスを替えても温度の傾向が変わらない場合があります。原因がグリス以外にあるケースです。
疑う順番だけを示します。塗った量、クーラーの取り付け状態、ケース内の空気の流れ、ほこりの堆積、室温、の順です。作業手順はこの記事では扱いません。
塗る量が多すぎた場合の見分け方
量が多いと金属面どうしが離れて効果が下がり、基板側へはみ出します(出典:Intel公式「How to Apply Thermal Paste」)。塗った直後から温度の傾向が変わらないなら、まずここを疑います。
広げるのはクーラーを取り付けるときの圧力です。手で伸ばすと気泡が入ります(出典:Intel公式「How to Apply Thermal Paste」)。多く塗るほど冷えるという関係は成り立ちません。
グリス以外に原因があるケース
ケース内の空気の流れ、ファンの停止、ほこりの堆積、室温は、いずれも熱がこもりやすくなる要素です。グリスを替えてもこれらが変わらなければ、温度の傾向も動きにくくなります。
小型ケースやミニPCでは、そもそも分解できるかどうかが先に来ます。保証の条件はメーカーの案内を確認してください。
長時間の高負荷は機器にとって負担になりやすい状況です。グリスだけで解決しようとせず、空気の流れとほこりを同時に見てください。
長時間プレイのグリス選びで迷いやすい6つの質問

ゲーミングPCのCPUグリスは熱伝導率がいくつあれば十分ですか?
数値で線を引けません。市販されているグリスの実際の熱伝導率は1〜4W/m・Kの範囲で、そもそもこの値を公表しない方針のメーカーがあります(出典:ARCTIC公式FAQ)。
「ゲーミングなら◯W/m・K以上」という基準は、公式の公表値からは作れません。代わりに導電性と使用温度域を見て、その2項目が書かれている製品どうしで比べてください。
数値を公表していない製品が候補に入っていても、それだけで外す必要はありません。外す判断は、導電性と使用温度域まで書かれていない場合に下します。
高いCPUグリスほどゲーム中の温度は下がりますか?
価格から温度は決まりません。グリスを交換して何℃下がるかは、公式の公表がない項目です。
判断材料になるのは、商品ページに書かれている導電性と使用温度域です。高い製品を選んだという事実は、選んだ理由の説明にはなりません。
初心者が液体金属タイプを選んでも問題ありませんか?
この記事が扱う状況では外します。液体金属タイプには導電性があり、アルミ製の受熱面には使用できないという制約が付くためです(出典:Thermal Grizzly公式 Conductonaut適用ガイド)。
クーラーの受熱面がニッケルめっきかどうかを自分で確認できない段階では、条件を判定できません。判定できない項目がある選択肢は、候補に残さない扱いにしてください。
グリスを多めに塗れば長時間プレイでも温度は下がりますか?
下がりません。量が多すぎると金属面どうしの密着が失われて効果が落ち、余った分は基板側へはみ出します(出典:Intel公式「How to Apply Thermal Paste」)。
案内されている量は、米粒1粒からエンドウ豆1粒ほどをCPU上面の中央へ置く形です(出典:Intel公式サポート)。量を増やす方向の調整は、この案内から外れます。
「2025年版」のように年式でCPUグリスを選ぶ意味はありますか?
年式は判断材料になりません。時間で決まる交換周期は公式の公表がなく、年ごとに基準が変わる項目も見当たらないためです。
確認する項目は年式に関係なく同じです。導電性、使用温度域、その値を公表しているかどうかの3つを見てください。
安いCPUグリスでもゲーミングPCに使えますか?
価格帯ではなく、商品ページに何が書かれているかで判断します。導電性と使用温度域が公表されていれば、この記事の条件に当てはめられます。
費用を抑えたいなら、容量を予定回数に合わせる方法が現実的です。1回しか塗らない予定で大容量を選ぶと、使わない分がそのまま残ります。
逆に、価格帯が高くても導電性と使用温度域が書かれていない製品は、この記事の条件では比較の土俵に上がりません。見る順番は価格ではなく記載です。
まとめ|長時間プレイのゲーミングPCは「外す条件」から決める

避ける条件は4つでした。液体金属タイプ(受熱面がアルミ、または初めて塗り替える場合)、熱伝導率の数字しか載っていない製品、使用温度域と導電性が書かれていない製品、そして塗布済みグリスが未使用のまま買い足すこと。この4つを外すと、残る候補はかなり絞られます。
ここから、状況ごとに1つずつ決めてください。付属のクーラーを一度も外していないなら、買い足さずに塗布済みのグリスをそのまま使ってください(出典:Intel公式サポート)。
初めて塗り替えるなら、液体金属タイプを候補から外し、導電性が非導電と書かれているタイプに絞ってください。高負荷を数時間続けるなら、連続使用温度が商品ページに書かれているものだけを比べてください。
費用を抑えたいなら、容量はあと何回塗る予定かで決めてください。1回分の目安は米粒1粒からエンドウ豆1粒ほどです(出典:Intel公式サポート)。
数字の大きさで選ぶのをやめると、選ぶ作業は「書かれているかどうか」の確認に変わります。書かれている項目が揃った製品どうしを並べる、それがこの状況での選び方です。
この記事はGGplay編集部が作成しました。本文の数値は、各社の公式サポートと公式スペックシートを2026年9月7日に1件ずつ確認しています。編集方針と運営者情報は運営元のページをご覧ください。
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